2024/03/25
【レポート】シオゴリバvol.13
「建築、イラストからたなべを想像し、自分たちで未来を描こう」
今回のシオゴリバvol.13 は、建築設計・インテリアデザイン・イラスト・立体造形などを制作されている、イスナデザイン/野口理沙子 + 一瀬健人(以下、イスナデザイン)さんをゲストに「建築、イラストからたなべを想像し、自分たちで未来を描こう」をテーマに開催。幼稚園に通うお子さんとの親子や高校生も参加し、わきあいあいとした活動的な回となりました。
まずはイスナデザインさんがこれまでに制作されたデザインや活動の紹介をいただき、続いて本日のワークショップについての説明をいただきました。
平面に絵を描くだけでなく、紙を折ったり貼ったりすることで立体的にイメージを表現する=“2.5次元”の奥行きのある「たなべのまちの立体地図」を作ることが本日の主題です。
「こんな田辺のまちを立体地図にしてみよう!」
班に分かれ、それぞれ15×15cmのパネルを受け取ります。
最終的に仕上げる約165×165cmのマップの分割された1区画ごと作っていきます。
まずは絵を描くことに慣れるために、一緒に参加しているメンバーや自分を描きます。
絵を描くのが得意じゃない人もタイマーが鳴るまでに頑張って描きました。
次はたなべの「海」を1枚のパネルいっぱいいっぱい、それぞれが思うままにクレヨンで色を塗っていきます。先に模様を描いたり、夕焼けのイメージで赤く塗ったり、人それぞれに表現されています。
これだけ人によって違うと、画力に自信がなくても好きなように描けばいいんだなと思えて、皆どんどん大胆に描いていくことができてきたように感じます。続いて山エリアを「熊野古道」や「森」などに分かれていろんな木でいっぱいの山が作られていきました。
緊張もほぐれて肩慣らしもできてきたところでいったんおやつタイム。
今日は田辺中央青果付近で営業する菓子店「ants STOCK YARD」さんのドーナツ。
ふわふわ触感の優しくて甘いドーナツを食べながら、ワークに戻ります。
ここからは班別に分かれます。
たなべの中心部は「田辺駅」「銀座通り」「闘鶏神社」「扇ヶ浜」「天神崎」の5エリアに分かれており、A~Eの5班でそれぞれを担当しました。その中でもまずは各エリアの各エリアの主要スポットを作っていきます。
すでにある田辺の建物や自然を作り、今の田辺ができあがりました。
そして最後に「自分がたなべにあったらいいなと思うもの」を自由に作ります。
改めて何がこのまちに欲しいかと考える皆さん。
「こんなものがあったらいいな。でもそれができたらこっちのお店が困るなあ」という声や「すでに色々あるから建物はいらないなあ」など様々な声が聞こえてきます。
タイムアップを迎えて、全員が自分の「あればいいな」を発表しました。
銭湯やサウナといった入浴施設が多かったですが、「どこでもドア」という夢のあるアイデアも複数人から出ました。また、公園やサッカーコート、ボーリング場など、人が集まって楽しく過ごせる場所が欲しいという声もたくさんありました。
最後に発表されたのは“文化的でいろんな施設が入った他のどこにもない(造形の)ドーム”。
「自然がたくさんある田辺だけれど、アマチュアからプロまで文化的な発表をできるような施設がない。どうせなら他のところにはないデザインで“ここにしかない”ようなものだといいな。レストランなどが併設されており普段から身近で足を運びやすいような施設で、もっと田辺が自然だけでなく文化的にも豊かなまちになっていくと嬉しいです。」
思いがこもった発表で、シオゴリバ、SHIOGORI PROJECTが目指していることそのものをぎゅっと表現されているように感じました。
最後のピースをひとりひとつずつはめ込み、たなべの未来MAP完成!
同じものがひとつもなく、「みんなちがってみんないい」が “2.5次元”に表されていました。
できあがったMAPを見て、いろんな地域でこのワークショップを行っているイスナデザインさんからフィードバック。
開催する地域によって出てくるものは様々で、都会なら「海」や「山」など自然が描かれることが多いそう。しかし、たなべは「海」も「山」もあり、自然が豊富なまちでそれ以外の具体的なものが多かったとのこと。
できあがったMAPからたなべの雰囲気を感じ取ることができましたとおっしゃっていました。
最後は全員で記念写真を1枚。
皆さんが描く、みらいのたなべ。
イスナデザインさんの手によってどのようにデザインに落とし込まれていくのか楽しみです!
今回は地域の人を中心に、自分たちで未来のたなべを描きました。
すでにあるものやこれまで培われてきた歴史を大切にしながらも、これからの未来に目を向けて新しいものも取り入れながら、住んでいる私たちで居心地のよいまちにしていけると良いですね。
【開催概要】
シオゴリバvol.13「建築、イラストからたなべを想像し、自分たちで未来を描こう」
日 時:2024年3月24日(日)
開 場:13:00
開 演:13:30~15:30
場 所:tanabe en+2Fワークスペース(和歌山県田辺市湊41-1)
参加費:無料
参加者:25名(満員)
イスナデザイン/野口理沙子 + 一瀬健人
一級建築士でイラストレーターの野口理沙子と一瀬健人によるユニット。
建築的な思考をベースに2次元と3次元を行き来しながら“2.5次元のケンチク”に取り組んでいる。
イラスト制作・建築設計・立体造形などのプロジェクトを行っている。
野口理沙子は、1987年京都府生まれ。神戸大学工学部建築学科卒業、同大学大学院修了。石本建築事務所、永山祐子建築設計を経て、2018年からイスナデザインを主宰。
一瀬健人は、1987年大阪府生まれ。神戸大学工学部建築学科卒業、同大学大学院修了。隈研吾建築都市設計事務所を経て、2018年からイスナデザインを主宰。
主な賞歴として2018年にグッドデザイン賞BEST100 + グッドフォーカス賞(復興デザイン)、第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2018日本館 出展、2019年に日本タイポグラフィ年鑑ベストワーク賞(インフォグラフィックス部門)などがある。
シオゴリバとは…
夕日の美しさ、市街地と近接する距離感に加え、気持ちのいい芝生の広場や歩道が整備されるなど魅力が高まりつつある扇ヶ浜。
この貴重な資源を、まちのブランディング、賑わいに如何に繋げていくか。各地の事例を学び、この地域の潜在力や課題から、海と街をつなぐ新たなまちづくりについてみんなで考え、新しい企画や事業のきっかけ、実践を探ります。
このシオゴリバをよりよく発展させ、関係者の輪を広げることにより、産官学の共創が生まれ、シオゴリプロジェクトにおける様々な事業に波及、ひいては田辺地域の観光・まちづくりに寄与していくことを目指しています。
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SHIOGORI PROJECT(シオゴリプロジェクト)
さまざまなコンテンツ開発と地域資源をつなげながら、扇ヶ浜を起点に田辺の海、街を現代版の「SHIOGORI:潮垢離」の場として改めて確立し、新たなまちの価値創造、地域ブランディングを行う観光・まちづくり事業。
2022年より、田辺市熊野ツーリズムビューロー、南紀みらい株式会社、AND LOCALの3社連携により取り組んでおります。