2024/04/24
【コラム】天神崎
天神崎とは?
和歌山県田辺市の太平洋に面している田辺湾の北側に突き出た岬で、日和山を中心とする緑豊かな丘陵部と干潮時に顔を出す平らな岩礁で形成されています。
ここでは、陸の動植物と海の動植物が、平たい岩礁をはさんで同居し、森・磯・海の三者が一体となって一つの生態系を作っており、市街地に近接しているにも関わらず、豊かな自然が残されているのが特徴です。
ナショナル・トラスト運動の先駆け
黒潮がぶつかり暖流の影響を受けて動植物の宝庫といわれる『天神崎』。ここはまた南紀白浜の対岸に位置する景勝の地でもあります。
昭和49年、この場所を別荘地として開発する計画が持ち上がったことに端を発して、ナショナル・トラスト運動が起こり、天神崎は日本国内におけるナショナル・トラスト運動の先駆けとして、全国的にその名を知られるようになりました。
ナショナル・トラスト運動とは、美しい自然や歴史的建造物を市民の寄金で買いとり保全していく運動のことで、日本語訳すると「みんなの大事な預かり物」という意味です。
天神崎は暖流の影響を受けて一年を通じて気候が温暖なため、海だけでなく陸でも南方系の生物の種類が豊かで学術的にも貴重な財産として評価されています。
観察できる植物の種類は250種、野鳥は50種、森の中の虫はクモ類だけでも95種にのぼるといわれ、昆虫の棲息地としても最適です。
海にはサンゴが約60種類も棲息し、これは北緯34度近くの海では世界的にも異例の数です。湾一帯で採れるウニの種類は約50種、海藻は500種にも及びます。
こうした自然を守ろうと、昭和49年2月に『天神崎の自然を大切にする会』が結成されました。自然保護を呼びかける人々の熱い想いが、全国の人々の共感を呼び、ナショナル・トラスト運動がスタートしました。
その歴史をたどってみると、昭和49年10月に熱意表明募金を開始し、昭和51年には第1次買上げが実現。昭和53年には市民141名と31団体が参加した『天神崎保全市民協議会』が発足。昭和57年には県や市が保全のための予算化を決定。昭和58年には『日本の自然100選』に選ばれるとともに、第1回ナショナル・トラスト運動全国大会が田辺市で開催されました。
以降も、自然観察教室や清掃活動、土地の取得などに取り組み、その運動は平成26年に満40年を迎え、現在もあゆみ続けています。
ナショナル・トラスト運動により、天神崎にはいまも豊かな生態系が息づき、大自然の中でその営みが繰り返されています。
絶景が見られる条件
条件が揃うとウユニ塩湖のような景色が見られると話題の天神崎。
引き潮時で潮位が150~140cm程度になると岩礁にたまった水が綺麗に反射し、ウユニ塩湖のような景色になります。波のうねりがあると多少時間帯が変動する場合があります。
また、雨の日や風が強い日は水面が波打ちきれいに反射しないのでタイミングが重要です。
田辺観光協会のホームページに見頃の時間帯が分かるおすすめカレンダーや潮見表が掲載されていますので、ご参考にしていただければと思います。
皆さんもぜひ天神崎を訪れて美しい自然を堪能してみてください。
引用:田辺観光協会HP
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SHIOGORI PROJECT(シオゴリプロジェクト)
さまざまなコンテンツ開発と地域資源をつなげながら、扇ヶ浜を起点に田辺の海、街を現代版の「SHIOGORI:潮垢離」の場として改めて確立し、新たなまちの価値創造、地域ブランディングを行う観光・まちづくり事業。
2022年より、田辺市熊野ツーリズムビューロー、南紀みらい株式会社、AND LOCALの3社連携により取り組んでおります。